不動産取得時に課税を受けるものに、「登録免許税」と「不動産取得税」があります。
意外と知られていないのですが、固定資産税の見直しを行う過程で過去の固定資産税評価額が下がった場合には、固定資産税の還付のみならず、登録免許税及び不動産取得税の過払い額の還付も受けることができるのです。
状況
クライアント:不動産賃貸業 T村社長
最近大阪府のN市にて、比較的大きな土地を購入した。この土地の固定資産税の見直しができないかと長村のもとに相談に訪れた。
長村
調査したのですが、この土地の固定資産税評価は見直しができそうです。
でも、この土地って取得してから1年経ってませんよね?
T村社長
ほんまですか!
土地を買うてから1年経ってないんで、当然過去の固定資産税の還付が無いのはわかってますが、
来年からかかる固定資産税の負担を考えたら、めっちゃ助かりますよ!
長村
それはもちろんそうなんですが、購入された時の「登録免許税」と「不動産取得税」の還付も可能だと思います。
あまり知られていないのですが、「登録免許税」と「不動産取得税」の算出根拠は、固定資産税評価額がベースになっているですよ。
登録免許税 |
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物件の取得が3月31日以前の場合 |
物件取得年度の前年の固定資産税評価額×税率 |
物件の取得が4月1日以降の場合 |
物件取得年度の固定資産税評価額×税率 |
不動産取得税 |
物件取得年度の固定資産税評価額×税率 |
長村
だから、固定資産税の見直しを行う過程で過去の固定資産税評価額が下がった場合には、固定資産税の還付・減額のみならず、登録免許税及び不動産取得税の過払い額についての還付も受けることができるんです。
T村社長
確かに土地買った時に、結構取られたもんな〜
還付になるとありがたいですわ!
長村
ただし、それぞれ還付請求の申請を行うことができる期限が設けられているため、できるだけ早めに申請したほうがいいと思います。5年内であれば還付申請は可能ですよ。
T村社長
そうですか!それでは急いでお願いします!
長村
了解しました。
それと・・・T村社長、この土地の前オーナーさんをご存知ですか?
T村社長
前のオーナー?面識がある程度やけど、なんで前のオーナーが関係あるのん?
長村
T村社長の会社での見直し申請だけだと、T村社長の会社が買った年度以降の固定資産税評価額の是正のみで「登録免許税」「不動産取得税」の還付が難しいかもしれません。
ですから、前オーナーにも固定資産税評価額の見直しを行ってもらい、前オーナー所有期間の固定資産税評価額についても遡って是正させてやれば、自動的にT村社長がこの土地を購入した時に支払った「登録免許税」と「不動産取得税」にも還付がなされる・・・
リスクを考えると、前オーナーにも固定資産税評価の見直しをしていただくのがいいと思います。
T村社長
そうか〜。そういう仕組みですか〜
わかりました!前オーナーさんにとっても払い過ぎた固定資産税が還ってくるという話ですからええ話ですわな!
私から電話して、協力してもらえるように手配しますわ!
その後
前オーナーさんの固定資産税の見直しを行ったところ、過去の固定資産税評価額を約1億円引き下げることに成功し、過去10年間の固定資産税評価額が是正されたことにより、過去の固定資産税の過払い額と還付加算金の合計約600万円が還付されました。
T村社長については、購入時に負担していた登録免許税の過払い額88万円と不動産取得税の過払い額85万円の合計173万円について還付申請を代行させていただいたところ、無事に還付を受けることができました。
固定資産税評価の見直しでフルコンボ還付 まとめ
今回のケースでは現オーナーさんから固定資産税の見直しのご依頼をいただき、その調査の過程で固定資産税評価額が過大に計算されていることについて確証を得ました。
次に、現オーナーさんから前オーナーさんをご紹介いただき、前オーナーさんが負担されていた過去10年分の固定資産税の過払い額を還付させ、これにより過去の固定資産税評価額を是正させてから、現オーナーさんの登録免許税と不動産取得税の還付申請を行うという手順をとりました。
現オーナーさんからのご依頼だけでは将来の固定資産税評価額の見直しは可能だとしても、過去の分についてまで見直しをさせることができない場合があるためです。
このようなリスクを排除する意味もあったのですが、前オーナーさんの協力を得ることができたことによって、固定資産税、登録免許税及び不動産取得税のフルコンボ還付が実現したのです。